税理士試験、税法理論の壁!!「みなす」ってどういうこと?
この記事ではTAC現役講師の私の経験談もまじえ、
税理士試験にあたって知っておいて損はないだろう話をします。
※TACではなく個人の見解として掲載しています。
目次
はじめに
税理士試験科目は大きく分けて2つのカテゴリーがあります。
「会計科目」と「税法科目」です。
おおむね受験者は会計科目(簿記論・財務諸表論)の受験から開始し、その後税法科目の学習に進みます。税法科目に入ると「理論の壁」と一部で通称される合格難易度の変化があります。
これは、数字と文字との違いであると同時に、会計学と法律学との違いでもあります。
しかし、いまから法律について詳しく知るのは時間も手間もかかります、税理士試験で必要な部分だけちょっとだけつまんでみましょう。
この記事が役に立つ人
・税法科目の勉強を始めたばかりの人
・いわゆる「理論の壁」を感じている人
・法律理解の思考回路に興味のある人
「みなす」の意味
『 「みなす」は、ある事柄(物)と性質の異なる他の事柄(物)とを一定の法律関係について同一のものと考えることを示します。』
と説明されます。
法律的にはこれであっているのですが、税理士試験は法律そのものの学習の場ではないので、
「結局どういうこと!?(笑)」
「へー、(無関心)」
となってしまうことがほとんどです。
結論から言うと「厳密にいうと本来はその法律適用ないんだけど、適用させます」ってことです。
「みなす」の前の内容を確認
「資産の譲渡等とみなす」「贈与とみなす」こんな感じの文章があります。
「資産の譲渡等」は消費税の課税の対象。
「贈与」は贈与税の課税の対象です。
てことは、ほんまは「資産の譲渡等」でも「贈与」でもないけど、「課税します」ってことです。
ほかにも「〇〇を提出したものとみなす」の文章があるとします。
この場合「〇〇を提出した」ら適用できるまたは不適用になる規定があるはずです。
「ほんまは提出してないけど、提出したってことにして適用(不適用)にします」ってことです。
こんな感じで「みなす」の前にある用語や述語とは「ほんまは違うんやけど、適用させます」って意味で使っています。
なぜ「みなす」のか?
なぜこんな法律があるのか、「理由」や「趣旨」が聞かれたりします。
細かな修飾は異なりますが、この答えはおおむね
「経済的実態が同様であるため、課税の公平性の見地から、このような法律がある」
です。
長くなりましたがこの下が重要です!!
(※重要)「法律を理解すること」と「税理士試験の理論問題を解く」こと
正直、くだけた表現でこのように説明したところで、理解はしても「だから何?」と思う方もいらっしゃると思います。
というのも、実務ではよっぽどニッチな事例でない限り
「適用があるかないか」
「税金かかるかかからないか」
が結論で、納税者もそれが知りたいので、「ほんまは違う(法律)行為」というところはさして重要だと思わないからです。
しかし、これは法律、とりわけ税法の学習の上で非常に重要な感覚です。
そして、この感覚を詰めていくと
「実務で役立つ」→たとえば税務調査で上手に説明できる。
「試験で役立つ」→たとえば理論の試験委員(税務当局の基本思考)対策になる。
といった効果が見込めます。
というのも、さきほどの「みなす」の仕組みの説明は
「租税法律主義」
「課税の公平性」
という税法の2大原則を、はっきり表した説明だからです!!
この2大原則と、なぜこれが大切なのかを、次回のブログでは説明したいと思います。
※次回、しりすぼみにならないように頑張ります(笑)
※2020.9.21追記 更新しました。以下のリンクから見れます。
おわりに
相模原市中央区の税理士・ファイナンシャルプランナー梨井俊税理士事務所では、
税理士試験受験生・会計事務所勤務の方向けの情報発信媒体として有益な情報を更新していきたいと思います。
税理士としての新しい働き方も常に模索中です。
ともに成長していければと思っています。
ここまでお目通しくださり、ありがとうございます。
梨井俊税理士事務所
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